おさじの落書き帳

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【感想】デジモンアドベンチャーTri3章観てきました

 例によって新宿バルト9に観に来ました。今回は前日にAbemaTVで無印最終回とウォーゲームを観てきたのでコンディションもバッチリです。
 
 
 2章の直後、文化祭の終わり頃メイクーモンが去ったところから始まります。
最初の方はメイクーモンが凶暴化(感染の原因と作中で言われていたので感染と表現するのは微妙?)したことと、それによりメイクーモンがレオモンを消してしまったことにショックを受ける芽心のケアをする女性陣の姿が印象的でした。特に皆からお母さんっぽいと言われていただけあって空の母性がすごい。芽心の家まで慰めに来て「泣いてもいいんだよ(うろ覚え)」って言うところは母性最高潮って感じでした。
2章で結構目立ってた割にレオモンが消えたのマジで皆ほぼスルーしてたのは笑った
 
 今回の話は言うまでもなく「感染」という要素が大きな鍵になっていました。そのため、感染現象の謎を究明し解決しようとする光子郎と、パートナーであるパタモンが感染してしまったタケル中心のストーリー展開です。
 
 メイクーモンの感染(ややこしいが、選ばれし子供達はメイクーモンは感染したと思っているので感染と表現する)によって感染に対する危機感が増した選ばれし子供達。光子郎は原因究明に躍起になり、パートナーデジモンたちを自分のサーバーに匿います。光子郎の部屋に子供達が集まり、芽心が空、ミミと共にそこに訪れます。ここで、少しでも感染現象に対する情報を集めようとして芽心に詰め寄る光子郎と、傷心の芽心をかばおうとするミミの間で衝突が起こります。物事に優先順位をつけ、あくまでその順位に従って事態の解決を図る光子郎と、仲間である芽心の精神のケアを何より優先させるミミ。個人的にはここでのお互いの思考、主張はいかにも男性的、女性的って感じがしました。今回だけに限らず、triではこういう男性的思考、女性的思考のぶつかり合いが意識的に描かれている感じがします。選ばれし子供達が、無印の小学生時代から成長し、思春期を迎え、一人前の大人しての自我もしっかりと芽生え始めているということの顕れでしょうか。
 triのテーマとして、選ばれし「子供」達が、「子供」から「大人」になるまでの成長の物語というのも含まれているように思えます。
 
 感染のリスクを下げるために安全なサーバーにパートナーたちを置いておく、という光子郎の策は、非常に理にかなったものであるように思えました。そのため、デジモンたちが光子郎が寝ている間に次々仮想空間から飛び出してきたり、パートナーをそれぞれ連れ帰るという案が採用された際は、僕はあーあーあー光子郎の言うことに従っておけばよいものをまたやっちまってるよ」と思っていました。ですが、実際パタモンがそうであったように、感染デジモンとの度重なる接触や、皆メイクーモンと共に過ごしていたことを考えると、すでにパートナーデジモンの誰かが感染していても全くおかしくないんですよね。なので作中でタケルが述べていたように、「全員が一緒にいると集団感染のリスクが上がる」(パタモンを連れ帰りたいという気持ちによる方便と、本当にパタモン以外の皆に感染させたくないという気持ち半々って感じでしょうか)という話も大いに起こりうる現象として真実味を帯びます。本来ならこういうリスク管理の問題に関しては光子郎が真っ先に気づいてしかるべきなのですが、「自分たちはまだ大丈夫」というある種の「甘え」があったのか、そこについてはカバーされませんでした。光子郎の未熟さが見てとれます。3章では、今まで万能便利キャラとしての立ち位置を欲しいままにしてきた光子郎も、まだまだ未熟な存在であるというところが描かれていると思います
 
 光子郎だけでなく、子供達とパートナー全員に「甘え」があったように感じます。
 タケルは、パタモンの感染を芽心にこそ打ち明けましたが、他の誰にも打ち明けられませんでした。パタモンを倒さなければならなくなるかもしれないことが嫌だったのは分かりますが、感染を治すことに賭けるなら光子郎には話すべきであったというのは明白であるように思えます。序盤の光子郎とミミのやり取りは、ある種非情とも思わせるような光子郎の冷静さを印象づけ、タケルが光子郎にパタモンの感染を告白できないことに説得力を持たせる効果もあり、ここで効いてきます。それを加味しても誰にも話さなかったのは悪手だと言えますが。
 他の子供達も、今回の話に関しては、感染の問題を解決するために特に動いていたわけでもなく、むしろ「一緒にいたいから」という理由でパートナーを連れ帰ったりしており(結果的に集団感染のリスクを下げてはいるのですが、そういう意図でパートナーを連れ帰っていた人はいませんでした)、「自分たちは大丈夫」という無意識の甘えを感じられます。きっと光子郎がなんとかしてくれる、というような甘えも多分にあったと思います。
 パートナーデジモンたちも、「次にメイクーモンが現れた時リブートが起こる」という情報を手に入れていたにもかかわらず、選ばれし子供たちにそのことを打ち明けたのはごく一部でした。かといって、子供たちに黙って自分たちでリブートを食い止めようというわけでもなく、それどころか自分にはそれぞれがリブートを受け入れてリブート前にパートナーとの最後の時間を過ごそうとしているように思えました。
 リブートが起こると自分たちの記憶もリセットされる、というのはデジモンたちも理解しており、リブートを受け入れる理由がないことは明白なはず。そのはずなのにリブートを食い止めるためのはたらきをした者が見られないのが甘えというか違和感を感じました。
 
 メイクーモンが再び現れるまでに、光子郎だけはリブートへの対策を講じてバックアップシステムを用意していましたが、凶暴化メイクーモンの強さ、感染力、そして主人公たちのそのときまでの立ち回りの甘さが災いし、結局誰一人バックアップを取ることはできずにリブートは実行されてしまいました。
 このバッドエンドとも言える結末は、厳しい言い方をするとそれぞれの甘えが招いた結果であると言えると思います。今回の物語において、最終局面に至るまでに最善手を取れていた者は誰一人いなかったと言ってよいでしょう。ただ、それだけに4章からの主人公たちの再起に期待が高まります(リブートだけに)。
4章サブタイトルが「喪失」なのが気になりますが…
 
 最終戦でテントモンがヘラクルカブテリモンに進化して「そんな顔で別れたらみなさん悲しみまっせ(うろ覚え)」って言いながら全員の攻撃を受け止めるシーンはかっこ良いやらテントモンの心意気やらにかなり感動しました。あと究極進化してもなんやかんや勝てない感じなんとなくテントモンっぽい。
 あとは最後デジタルワールドでリブートされたパートナーデジモンたちと選ばれし子供たちが再開したシーンの、光子郎のセリフは今回で一番グッと来ました。今作得られたもの、光子郎の成長があのセリフに凝縮されているように思います。
  芽心は迷いに迷った結果デジタルワールド行きに間に合いませんでした。最後にデジタルワールドで選ばれし子供たちのなかに芽心がいないことを視認したメイクーモンと、今のところ迷い続けている芽心の今後の動きにも注目ですね。
 
 
 面白かった小ネタについては、まず第一に自室で研究に打ち込む光子郎の周りに、やたら空のペットボトルが多いところでしょうか。上でも述べたとおり今回3章を見る前日に、AbemaTVでぼくらのウォーゲームを見ていたので、お茶をやたら飲みまくる光子郎の描写は、ウォーゲームでお茶飲み過ぎてトイレに駆け込む光子郎を思い出させ、無印リスペクトを感じました。
また、ウォーゲーム関連で言うと、太一が自宅で「母さんだけは変わらないな(うろ覚え)」って言うシーンの前の八神家母のセリフが、「タマゴと牛乳買ってきてちょうだい」だったのも、ウォーゲームでケーキを作ろうとしていた八神家母とほぼ同じセリフだったと記憶しています。前日にウォーゲーム見られてよかった。
 
今作で、感染のメカニズムについて少しだけ解説されていました。「二進法でも十進法でもないコードに書き換えられてしまう」
………?
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※第一章の時の感想記事
 
ま さ か 三 進 法 が 伏 線 と は
 
ここちゃんと気づいてたのなんかすごい嬉しいです。映画観ながら(気づいてた!俺は気づいてたぞ!!)って心の中で叫んでました。
 
 他には、どら焼きか何かを食べるピヨモンの食事音や、ヤマトの練習してる部屋に入ってくるガブモンの足音が、ゲームのデジモンワールドシリーズのSEとたぶん同じでした。細かいな~と思いました。製作サイドのデジモン愛を感じられます。
 
 
 今回の感想は以上です!4章は2月らしいですが待ち遠しいですね~